2018/9/2 第55回 売買契約における危険負担について

お世話になります。
神戸不動産リアルティの白石です。

台風20号が過ぎ去ったかと思えば、台風21号が本州直撃とか。
先日の20号で屋根の一部が飛んだり、テレビアンテナが倒れたり、雨漏りしたり、
所有している物件も何件が被害がありました。

被害状況を保険会社に報告し、被害個所の修復を業者に依頼していますが、
当然ながら同様の被害が多く、時間がかかっています。

そんな中、次の21号は「今年最強」の台風らしく、被害が多方面で出そうで、
少しでも威力が弱くなるのと、早く通り過ぎてほしいと願うばかりです。

雑談ですが、私の自宅には1台分のカーポートがあります。
リクシルの「ネスカF」という商品ですが、この機会にどれくらいの風に耐えられるか調べてみました。

リクシル ネスカF

耐風圧強度風速=38m/秒相当
(耐風圧強度の数値は目安であり、商品保証値ではありません)

う~ん。

先日の台風20号で、明石の観測地点では最大瞬間風速は39.3m/秒だったらしく、
すでにカタログスペックは超過しています。

なんとか耐え忍んだ我が家のカーポートでしたが、
次の台風21号の最大瞬間風速を調べてみると、なんと75m/秒(!?)

えぐい。

カタログスペックの約2倍。

ポリカーボネート(アクリル板のようなもの)は完全に逝ってしまいそうで今とても不安です。

みなさんも今からできる限りの対策をしておきましょう。



さて、今日はそんな自然災害と不動産の売買契約について少しお話をしてみたいと思います。

今回のような台風や地震、西日本を襲った豪雨、たまにニュースでも聞く竜巻といった自然災害がおきた場合、
当たり前ですが「所有者」が自費、もしくは火災保険などで修復します。

物件を売出中であれば所有者である売主。
物件を購入した後であれば買主。

では次の場合はどうなるか。

例えば今日9月2日売買契約を行い、9月末に引渡しを行う場合で、
数日後の台風により屋根の瓦が吹き飛んだ場合。

売買契約は締結していますが、所有権は売主にありますので、
売主は屋根を修復して買主に引き渡す必要があります。
売買契約で規定する「毀損」した場合のことです。

では、契約後に巨大地震が発生し、引渡しまでに建物が倒壊してしまった場合はどうなるか。
さすがに修復するには多大な費用がかかりますし、建物を元に戻すのは現実的に無理があります。

売買契約で規定する建物の「滅失」となり契約の履行ができませんし、
原因が天災地変によるものですから売主の故意、過失によるものでもありません。
この場合の売買契約は白紙となり契約は解除となります。

あと例外的なところで言うと、土地と建物と売買契約ではあるが、
買主が建物を解体する目的で契約する場合、建物が台風でいくら壊れても、
売主は修復する必要はないと言えます。

実務においては色々なケースがありますが、
売買契約書にきちんと危険負担の取り決めがされていることが大事です。

現在、売買契約締結済みで引渡しがこれから、という方がおられましたら
この台風でそんな話が出てくる可能性が高いので注意が必要です。

火災保険の内容も確認しておきましょう。

以上、危険負担のお話でした。