2017/4/13 第33回 「境界」

神戸不動産リアルティの白石です。

すっかり春になりましたね。桜もそろそろ見納めでしょうか。
先日近所の高校の前を通ったら入学式であろう学生を見かけました。

私も当時16歳となればもう20年前の話になります。
まさか将来不動産屋なんかしてるとは夢にも思ってなかったでしょうが、
16歳の自分にがっかりされないよう頑張っていきたいなと思います。

さて今日は境界の話。

境界とは簡単に言うと土地の境い目のことで、
境界の端にある境界点(境界標)の点同士を結んだ線が境界線となります。

少し専門的にはなりますが、境界は「筆界(公法上)」と「所有権界(私法上)」があり、
土地が登記される際など、隣地所有者、道路所有者との筆界確認書を法務局に提出し、
公的に認められたものを「筆界」と言います。

「所有権界」とは個人同士が所有権の範囲を勝手に決めたもので、
分筆や合筆、所有権移転登記等が行われないままの状態となれば、
筆界とこの所有権界が一致してないことがあります。

多くの場合、筆界と所有権界は一致していますので(本来一致しているもの)、
一般的に売買で使われる「境界」という言葉は「筆界」のことを指すこととなります。

この境界について確認せず売買してしまうとトラブルになる恐れがありますので、
不動産を購入、売却する際にはよくよく注意する必要があります。

まず確認しなければならないのが境界点となるポイント、境界標があるかどうかです。
境界標は石杭だったり、金属のプレートだったり、ペンキだったり色々です。

左の写真を見ると綺麗な状態で一目で見て分かりますが、実際は土に埋もれてたり、ブロック塀の下敷きだったりで、スコップでほじったりします。

この境界点同士を結んだ線が境界線になりますので、敷地内にあるブロック塀が隣地との境界線より
内側にあるのか外側にあるのか、あるいは境界線上にあるのか確認することができます。
また庭の植栽や構築物、上空にある電話線といった物が越境していないかの確認もできます。

境界標、境界線がはっきりしないままの状態で売買してしまうということは、
隣地所有者と境界に関して曖昧な状態で売買するということになりますので、
引渡し後のトラブルに繋がってしまう場合もあります。

境界標が見当たらない場合、何らかの理由で境界標が無くなってしまっていますので、
取引の安全を期すためには、売主側の負担で、境界標を設置し、境界を明示する必要があります。

境界を明示するには土地家屋調査士に依頼すれば一連の作業はしてもらえます。
時間と費用はかかりますので、売買のスケジュールに合わせて事前に確認が必要です。

売主側で境界を明示して引渡しするのが望ましいのですが、
売主、買主との売買取引条件によっては境界を明示せず引渡しする場合もあります。
明示、非明示いずれにしろ売買契約書で取決めしておくことが良いでしょう。

境界を明示しない場合でも法務局に備え付けられた地積測量図、区画整理地の物件であれば換地図面等を確認し、
例えば測量図の作成が近年である場合や、比較的新しい区画整理地である場合は、
測量図、換地図面等で正確な土地の寸法から境界の位置を確認することが可能ですので、
取引する際に事前に確認することが大事なポイントとなります。

境界の確定は、その土地所有者が単独で決めれるものではありません。
その境界に接している土地所有者の同意があって初めて確定できるものとなります。

一番の問題は隣接地所有者が、その境界で同意してくれるかどうかで、
ここが売買取引においても重要なポイントとなります。

新たに測った測量図、測量データ、公的な資料を基に、隣接地所有者に説明をするのですが、
中には勘違いや、昔からの経緯(いきさつ)で自分の土地と思い込んでいる場合、
近隣との人間関係が良くない場合、同意が得られないことが意外と多くあります。

境界の話のついでにブロック塀のことも少しお話したいと思います。
土地の境界線に沿って築造されているブロック塀、ここも確認が必要なポイントです。

境界と併せて注意が必要なのがブロック塀の取り合いです。
境界ポイントがはっきりしていれば、ブロック塀がどちらの所有になっているか判断できます。

ちなみに高いブロック塀がある場合更に注意が必要です。
建築基準法に定められた規定に反するものは最悪の場合、建築許可が降りないこともあります。

※ブロック塀の高さが1.2m以上あり、3.4mごとに控え壁がないブロック塀には注意が必要です。

上のイラストのように、境界とブロック塀の位置によって、
ブロック塀が自分の物なのか共有なのかが判断できます。

土地の引渡し後に自分のブロック塀だと思って解体してしまったら、
実はお隣のブロック塀だった、なんてトラブルも実際に起こったりしています。
土地を売却する際には境界やブロック塀、越境物についてご自身で確認しておくのも大事です。

最後に安易な説明をしてくる営業マンには注意が必要です。
筆界確認の必要性、残地の場合の地積の誤差、実測清算取引にすべきかどうか等、
売買取引への影響を考慮しなければなりません。

境界に関してのトラブルは意外と多くありますのでご注意ください。
以上、境界についてのお話でした。